玉の浦

認定樹花|個人会員様
  • 根岸 紘一

英名・学名

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昭和23年、7歳の時に満州(現中国東北部)大連から一家6人で引き揚げて来て、逗子の村にある花の実家に身を寄せました。

相模灘の入江に面した温暖な海近の村では、山にも農家や両氏の家の庭にも花木が多く指揮折々に様々な花が溢れて、軽度の高い大連での幼い7年間には記憶のなかった色の華やかさが大きな驚きでした。

その家の庭に1本のすらっと伸びた木が植えられていました。冬の入り口で心も縮みがちな時季に、蔵の白壁をバックに深緑の葉で小ぶりの真紅の一重の清楚な花をつけ、盛りを迎えたと思うと、忽ちにスパッと散らしてしまうその木と花の潔さが、他国から帰ってきて直ぐには新しい環境に馴染めず優柔不断の日々に在った少年に喝を入れたのでした。

それ以来、椿にあまり派手でない清楚な椿の花に心を惹かれています。今一番の贔屓は自分で実生から育てた樹齢40年余の鉢植えの「玉の浦」です。濃いピンクに白い縁取りの可憐な花が、我が家の春告げ花です。

伊藤家の家紋が「上り藤」なので、それに因みました。 本来、藤は下るのが一般的なのですが、家運が上るように、先祖が考えたようです。 

伊藤 昭

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