ホトトギス(杜鵑)

認定樹花|個人会員様
  • 前川 昭子

英名・学名

ユリ科 ホトトギス属

学名:Tricrtis hirata

解説

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コメント

ユリ科に属するホトトギスは、牧野富太郎先生の図鑑(北隆館)では、ホトトギスのほか、ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギス、キバナホトトギス、チャボホトトギス、タマガワホトトギス、ジョウロウホトトギスなど7種があげられている。高さ70cm程度に育ち、秋口から独特な花形と色合いをもち、やまとを語る申し子とでも言える心引きづける連花を咲かせる。

元来、山地や丘陵の樹下に生える多年草であるが、多くの先人がその可憐さに魅かれ、持ち帰って庭先に植えたのを関西地域の旧家や社寺でよく目にする。花弁上の上品な紫色の斑入りは一層奥ゆかしさを感じさせる。ホトトギスの名前は、鳥類のほととぎすの胸の斑点が花弁の色とその分布に似ていることに由来している。
 
最近、黄色の花をつけるキバナホトトギスを目にすることがあり、長期間、紫花との混植が維持できれば、また、風情はひときわであろう。鉢植えでも十分育つため、ペアーの鉢植えで玄関口に鎮座した姿は、和風、洋風の館にもよく合うのではないかと想像を逞しくする。この花は、学生時代、キンモクセイ香の名残が漂う京で会った平安時代の貴公子に例えられる心に残る絶品の一花である。

解説:小林昭雄

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