ミョウガ(茗荷)

認定樹花|個人会員様
  • 川上 茂樹(大阪大学)

英名・学名

ショウガ科 ショウガ属

英名:mioga

学名:Zingiber Mioga

解説

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コメント

我が川上家の家紋は丸に抱き茗荷である。実家の蔵の屋根横と祖父が着る紋付き袴にはこの丸に抱き茗荷の印が付いていた。実家の周辺でお経が読める我が祖父だけであり、お寺からお坊さんが到着するまで、代表して読経する法事のヒーローであった。言葉で表せない威厳があったのである。

そんな祖父が亡くなってからもう10年が過ぎ、誰も着ることのなくなった憧れのあの袴だけが実家に残されている。 インドの謎の神・摩陀羅神のシンボルが茗荷であった。神紋というらしい。茗荷は最も古い神の認定樹花であるかもしれない。憤怒の神?性の神?この謎多き摩陀羅神はとにもかくにも邪気・邪念を払い不祥を吹き飛ばし、煩悩を解脱させる。そんな摩陀羅神を信仰するものたちが、茗荷を家紋として用いたのであろう。 

江戸時代の「本朝食鑑」という書物には、「茗荷は気のうっ血を開き、食を進め、邪気を払う。茎や葉や根を煎じて、まだ熱いうちにシモヤケした患部を繰り返し洗えば治る」と記述されている。茗荷は食すれば鮮烈な香りを放ち、麻酔効能により傷みを忘れさせ、時にはハッとさせるほど美しい花を咲かせる。我が娘たちは茗荷のように内に秘めた力を持って育つのだろうか。

川上 茂樹

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