ハギ(萩)

認定樹花|個人会員様
  • 久保 真奈美(料亭  幾松)

英名・学名

マメ科ハギ属

英名:Japanese clover

学名:Lespedeza

解説

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コメント

五山の送り火を終え、鴨川納涼床に秋風が立つ頃、控え目に秋の到来を教えてくれるのが萩です。 咲き誇るということがない花に長い夏を無事にひっそりと終えられた喜びと長州藩ゆかりの宿として当館を往来した志士達の故郷を思います。

久保 真奈美

ハギはマメ科ハギ属の総称で落葉の低木です。春先、葉の色は黄緑色ですが、晩夏に至り花をつける頃には少し深みを増します。京都では、萩と言えば京都三名水としても知られる梨木神社(京都市上京区寺町通広小路上ル)を思い起こす人は多いのですが、古都、千をもの寺社の境内に参れば、こんもりと茂った萩の植え込みに必ず出会います。

花は、蝶形花冠 (papilionaceous corolla)で、手にとってみると言葉通り蝶に似ていますし、花卓の先を少し残すとその様は鳥の形にもみえます。萩の花色は濃淡はあれ紫色が普通ですが白花もあり、細くしなやかな枝に連なる花のつく様はいかにも上品で、銀色に光る葉上の朝露との協奏は秋の風情が増します。ハギの分布は広く「万葉集」で最もよく詠まれるところからも日本人の心をとらえる「そこはかさ」を身につけた気品ある麗花です。

解説:小林昭雄

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