第7回 智の泉談話会 報告

 

  1. 開催日時: 2021年3月27日(土) 14時-16時
  2. 開催場所: テラプロジェクト Aゾーン
  3. 参加者:  企業賛助会員:2社
          個人会員:4名
          外部参加:2名
          事務局 :6名     計:12名 
  4. 話題提供者 :一般社団法人地域食プロデュース協会 理事長 新古祐子氏

5 話 題:「今、地域食ブランドが面白い」

私は、地域の食のブランドを10年程手掛けて参りました。頑張っている地元の企業さんの商品が、どうやったらもっと知ってもらえるのか、売れるのか、など相談を受けながら、お手伝いしてきました。
もともとが、和歌山県の有田郡湯浅町で明治14年に創業し夫が経営する湯浅醤油有限会社で、営業を担当してきまして、最高では一人で1億2000万円の売り上げたこともあります。
この営業活動の中で、商品の告知や見せ方、売り方を工夫すれはもっと売れる商品が沢山あることに気づき、2010年にスターフードジャパン(株)を立ち上げました。
また、地域食を育てるためには、人材も必要と考えて、私の経験やスキルを受け継いでもらうために、地域食プロデュース協会を発足させて活動しております。

さて、地域にはたくさんのブランドがあります。
自分の地域でブランドとして知られていても、他府県では知られていません。なぜなら、競合として他府県にも同じような商品があり、その地域でブランドとなっているからです。
お客様に、自分の商品の使い方、食べ方を知ってもらわないと差別化できず、認知してもらえない。
では、どのように差別化するのか。事例をお話します。

淡路島に、「淡路島3年とらふぐ」と言うブランドがあります。
とらふぐは、普通は2年間養殖して出荷しています。2年間が、餌代や養殖期間中のロスと出荷総額を比較して一番利幅が大きいからです。しかし、もう一年長く3年間養殖すると格段に大きくなります。

そこで、若男水産さんが、3年養殖に挑戦し、地域の漁協が「地域団体商標」として登録しました。地域団体商標は、特許庁が「地域の産品等について、事業者の信用の維持を図り、“地域ブランド”の保護による地域経済の活性化」を目的に2006年から始めた制度で、国に“地域ブランド”として認めてもらえることになります。


 「淡路島3年とらふぐ」は、漁業者が自分たちだけでブランド化せず、開発した「てっさ」や「てっちり」のセットを商工会に持ち込み、観光協会ともタイアップしてホテルの看板料理としました。
告知を若男水産さんだけでなく、商工会、観光協会など地域全体で行いました。この時、「地域団体商標」という国からのお墨付きを貰っていたのは大きな力となりました。

観光協会とタイアップし、地域のイベントを通して地域貢献し、地域全体の利益となるような仕組みとしたことが、成功につながりました。

スターフードジャパン(株)では、行政から依頼される商品開発も手掛けています。以前、近畿経済産業局から地域団体商標商品を広めるための商品開発を依頼されました。その一つとして、「3年とらふぐの煮凝り」の缶詰めを開発しました。
私は商品開発する時に、売価を決めて開発します。
この、「3年とらふぐの煮凝り」では、ふぐの身を入れると高くなり、600円を超えてしまいます。そこで、「3年とらふぐ」の調理現場に行くと、「ふぐをさばくと身が付いたふぐ皮、身皮が出る。食べられるのにもったいない」という話を聞きました。
ふぐの身皮を使い高価なふぐの身を少なくして、コラーゲンたっぷりの煮凝りを開発しました。私の商品開発では、原価を抑えられるので、先ず、現場で捨てている、もったない、再利用できる素材を使えないか考えることが基本です。

地域食ブランドで、成功しないところは、商品が真の特産品になっていない、自分だけが良いとの独りよがりに陥っている、広く協力しない、社会貢献しない、地域前愛の利益を考えない ことが多い。
商品開発が終わると、商工会に持ち込み、告知、販売促進をおんぶにだっこで任せてしまう例が多く見受けられます。
商品のストーリーや背景を小学校な大学で紹介する社旗貢献は、認知の裾野をひろげるために重要だと思っています

産物や水産物には、JAやJFが効率的な輸送のために決めたサイズ規格があり、どうしても規格外品が生じます。
10年ほど前に、中部経済産業局から三重県で規格外の小さなサンマが余り、廃棄しているのでなんとか特産品を開発できないかと相談されました。

当時は、三重県でもサンマがよく獲れました。しかし、サイズの小さいものは売り物にならず、廃棄していました。現場に行ってみると、倉庫に小さサンマが2-3トンありました。
そして、近くに三重県の伝統食であるカツオの生節を製造する設備がありました。
そこで、小さなサンマの丸干し(生節?)を造りました。中部経済産業局からは、開発商品で地域にお客さんを呼び寄せたいと意向を聞いていました。

しかし、水産物の特産品でお客さんを誘致することはできないので、認知を広げることを主眼としました。
大き目の袋に入れて大きく見せ、「神さんま」とネーミングしました。ターゲットを東京出張帰りのサラリーマンとし、新幹線の車内で飲む時の柿の種の代わりになる酒肴となるように価格を300円としました。
サンマの原価は無いようなもので、加工を地元の既存設備を行ったので加工費も抑えられ、原価は十数円でした。
東京の三重県のアンテナショップやネクスコ東海エリアに置いてもらい、月商240万円の商品となました。

「やきかま」という珍味があるのですが、この商品は加工工場が一つで、いろいろな会社が様々な商品名で売っています。
商品の中身が一緒なので特徴がありませんでした。
また、ターゲットを男性とした酒肴品として売られているので、女性が全く手を伸ばさない商品でした。
依頼主は大阪府で、その内容は「やきかま」で女性の食べる商品を開発することでした。

開発では、ターゲットを10代から30代の女性とし、バックに入るローカロリーのお菓子となる商品を目指しました。
ターゲットから設定した価格は200円以下で、パッケージにはお魚をデザインしました。
依頼主からは、大阪の味としてたこ焼き風味などの要望があったのですが、「こてこて」ど定番を外し、スパイシーカレー、紅生姜、チキンコンソメの三つの風味を用意しました。
ネーミングは、業界で「やきかま」がプッチンと呼ばれていたので、かわいらしいいのでそのまま「プッチン」としました。

「プッチン」には、土産物市場で競合商品がなく、コンセプトは大阪、ターゲットは女性に絞り込んであったので、順調に推移している。
販路は、大阪府内の土産物屋などに加えて羽田空港やコンビニ、スーパーの一部でも取り扱いが始まっています。

商品がブランドとして独り立ちするための地域づくりには、発掘、磨き上げ、情報発信、販売方法が必要です。
商品を磨き上げるには、その商品に熱い情熱を持った人が必要でず。
お姉さんでもおじさんでも、情熱をもった人を盛り上げることで、商品に磨きがかかります。
磨き上げでは、唯一無二のものを造ります。この時には、方針がぶれないようにプロデューサーが不可欠となります。情報発信では、ユーチューブにアップすればよいではありません。
中には、情報発信して終わりという開発がありますが、販売方法までやりきることが重要です。

ブランドは、信用と信頼が重要で、お客さんはほとんどのものを既に持っているので、お金を払うだけの価値がないとブランドにはなれません。
食べ物の場合は、おいしいこと、人に薦めたくなることです。インスタ映えする食べ物においしいものは少ない、だから、リピートを生みません。
食べ物の場合の価値は、おいしいことで必須要件です。
この時、沢山の専門家と一緒においしいものを作り上げるのが良いのです。一人で作ると、独りよがりなったり、凝り過ぎなったりします。
専門家をまとめるには、プロデューサーが必要となります。

一般社団法人地域食プロデュース協会では、地域食を有効に活用し、地域食ブランドを開発できる人材を育成するために、プロデューサー育成講座を開いています。
プロデューサーには4級から1級、その上にマスターがあります。上位のカリキュラムでは、食品表示と商品開発とブランド育成を学ぶ。商品開発とブランド育成では、私に経験を中心に実務的な開発方法を習得します。

もう一つの事業が、スターフードジャパンです。スターフードジャパンは、商品の事業化見通しの検証から販促の提案までをサポートする「食品マーケティング支援事業」です。
関西空港の中に、「Region-Style」と言う店舗を持っていて、委託販売、小ロット販売、イベント開催、アンケート集計を請け負っています。

6 事務局後書

報告書で取り上げた商品の他に多くの開発商品が紹介され、大変興味深いお話でした。
地域の食材から地域食ブランドを創り上げることの難しさを垣間見ました。
話題提供の後、農業の実態と六次産業化、商品規模と採算性等の質疑がありましたが、割愛させていただきました。
以上。


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