創立記念特別講演会(14周年) ご報告

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  • 日 時:令和4年5月7日(土)<講演会:15:00~17:00、交流会:17:15~18:30>
  • 場 所:テラプロジェクト Aゾーン
  • 参加者:28名(会場参加:23名、リモート参加:3名、事務局:2名)
  • (司会進行:大河内基夫 事務局長)

【開会挨拶】(寺谷 誠一郎 理事長)

 当日は、大河内基夫事務局長から開会宣言ならびに全体のスケジュールについて紹介があった。冒頭、2008年5月の智の木協会創立以来、10年間、智の木協会事務局長として、本協会に多大なご貢献を賜った小菅喜昭様が4月3日にご逝去されたことを受けて、小菅様に哀悼の意を表し、参加者全員で黙祷をささげた。

1.開会挨拶

(智の木協会専門委員 富国生命保険相互会社 執行役員不動産部長 浅見直幸様 代読)

この度は、「智の木協会」設立14周年、誠におめでとうございます。寺谷理事長様、小林代表幹事を はじめ智の木協会会員の皆様に心よりお祝い申しあげます。

 「智の木協会」は、みどり豊かな環境づくり(Plant-Friendly Life、植育活動)を推進するために、自治体、企業、団体、個人が自ら樹花を定め、それぞれの持続可能なSDGs実現を支援する組織として、2008年5月4日に創設されました。設立の3年後に現在の富国生命ビル4Fに事務局とともに会員交流サロンを設け、“みどり”に関連するシンポジウムや「みどりのサンタ」に象徴される各種イベントを、(一社)テラプロジェクト様との連携のもと会員の皆様と一体となって取り組んでこられました。

 ここ2年間は、新型コロナウィルスの感染拡大もあり、様々な事業活動が中止や延期になり大変残念ではございますが、これまでの「智の木協会」の活動は、アフターコロナの時代を先駆け的な取り組みであり、その活動を大阪・関西のみならず、一昨年協力団体として入会した「日本みどりのプロジェクト推進協議会」の会員自治体・企業との緊密な連携のもと、「智の木の森づくり」等を通じて、事業展開と会員・組織の拡大が期待されるところであります。

 来年は、節目となる創立15周年にあたります。会員の皆さま方におかれましては、今年一年、引き続き「智の木協会」の活動に対しまして、一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申しあげます。「智の木協会」創立14周年、誠におめでとうございます。

2.ご挨拶

「智の木協会」寺谷誠一郎 理事長からのご挨拶(智頭町役場からのリモート参加)

 只今、司会からご紹介がございました。寺谷でございます。この度は、こういう形で皆様にご挨拶させていただくことをまずはお詫び申し上げたい。私が住んでいる鳥取県では、まだ新型コロナ感染症の火種が燻っており、平井知事からも今のところは県境をまたいだ移動を極力しないようにとのご指導もあり、お許しいただきたい。

 さて、智の木協会は、2008年5月4日に小林先生が設立され、今年で14年になる。この5月4日は小林先生のお誕生日でもあり、長きにわたり小林先生が引っ張ってこられたものである。「智の木協会」は多くの皆さんの「智(知恵)」を終結して、全世界中のどの「木」にもある「根」を育てる組織であると認識している。それは、本日ご参加されている大学の先生方は学生たちを、企業経営者の方は社員をそれぞれ根本から支え育てておられることにつながることと考えている。            

 今日の創立記念講演は、遠路三重県から辻製油株式会社の辻会長様にお越しいただき、「循環型社会の実現を目指して」というテーマでご講演をいただく。私もzoomではなく、実際にお会いしてお聞きしたいテーマで、大変残念に思っている。辻会長様よろしくお願いいたします。

 来年、智の木協会は、節目となる15周年を迎えます。来年こそは頃コロナウィルスも下火になって必ずや皆様に「智の木協会」を盛大に祝い、喜んでいただける会を開きたいと考えておりますので、何卒よろしくお願い申しあげます。

3.活動報告

 「智の木協会」小林昭雄 代表幹事からの活動報告 

 会員の皆様には「創立記念講演会」に足をお運びいただき、また、寺谷理事長様には智頭町からリモートで、講師の辻会長様には三重県からご参加いただき感謝する。

 5月4日はみどりの日であります。21世紀は、“みどり”が金になる時代(Green Goldの時代)と言い続けて“みどり”を国際語にしようという想いで今日の14回目の創立記念日を迎えている。「智の木協会」の活動報告について3つのポイントからご紹介をさせていただく。

一点目は、「智の木の森づくり(自分の定めた樹花を植えていく活動)」を開始することである。昨年、11月に智頭町で幹部による記念植樹を行ったが、今年は公式的に会員にご案内して6月下旬から7月上旬に智頭町で開催する予定にしている。

二点目は、「智の木協会」が協力団体として参加している「日本みどりのプロジェクト推進協議会」の“One Green プロジェクト”におけるテラプロジェクトが担当する「Green Hospitality Osaka シンポジウム」への参加である。今年も昨年同様に11月頃に開催を予定しているので期待して欲しい。

三点目は、定例事業活動であるシンポジウムや智の泉談話会、ヘレンドカフェ等の開催である。今年もより多くの方に参加いただけるよう内容の充実に努めていきたい。

  「智の木協会」は、世界に向けて3つのキャンペーンスローガンを掲げて活動を進めている。 ①「One Green 活動」、②plant-friendly Life「みどりでおもてなし」、③子供たちへの「植育」

   今後もこのスローガン(商標登録済)を合言葉に事業活動を展開していくのでご支援願いたい。最後に「まちらぼ・E区画」(一社)DF-WALK協会のオフィス内に会員の皆様に活用いただける交流スペース(「智の木ポーチ」)を6月以降に確保する予定なので是非活用いただきたい。

4.創立記念特別講演会

〇講演テーマ:「地域社会で循環型社会の実現を目指して - 辻製油(株)の実施例 -  〇講師:辻 保彦 氏(辻製油株式会社 代表取締役会長/うれしのアグリ株式会社 代表取締役社長)

辻製油(株)は、令和4年1月に三重県SDGs推進パートナーに登録し、三重県とともに持続可能な社会の実現に向けて、様々な取り組みを展開している。SDG’sの17の目標の中で、3番(あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する)、7番(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する、9番(強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る、15番(陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する)に貢献したいと考えている。

辻製油所は、昭和22年に国産の菜種を専門に搾油する会社として松坂市に創立された。戦前から伊勢平野では菜種(菜の花)栽培が盛んで、原料の菜種を近隣から調達できた。しかし、高度経済成長期から菜種栽培が下火となり、原料を海外に頼よわざるを得ない状況となった。競合の大手は、港湾隣接地に工場を配置して、バラ積み船から吸い上げた海外原料をサイロに貯蔵して、搾油する。一方、辻製油は、港湾でトラックに移し替えて内陸の工場へ運搬する。これでは、コストで勝負にならない。そこで、搾油の副産物である油粕をペレット化して茶畑でも施肥できるようにしたり、消化率の高いミールにしたりして、付加価値を高めた。

伊勢平野では、菜種の他にサツマイモの栽培が盛んで、サツマイモからデンプンを取り出す会社がたくさんあった。しかし、サツマイモも菜種と同じように栽培されなくなり、デンプン会社は海外からトウモロコシを輸入してデンプンを生産した。副産物として、油分を含むトウモロコシの胚芽が発生した。辻製油では、このトウモロコシの胚芽に目を付けて、昭和36年にコーン油の生産に乗り出した。辻製油の食用油は加工食品に多く使われており、例えば、キャノーラ油(菜種油)はマヨネーズ等に使われているし、 コーン油はポテトチップス等のフライ油に使われている。

現在は、抽出と酵素分解をコア技術として油脂・天然物素材を開発する会社となった。製油事業では食用油、脱脂ミールを、機能性事業では大豆レシチン、コーンセラミドなどの機能性素材を製造・販売している。特に、唯一の天然乳化剤である高純度大豆レシチンは、日本では辻製油だけが生産している。製油事業と機能性事業の原料は輸入原料で、その価格はシカゴ相場、船賃、為替が乱高下する。原料を海外に依存していると、リスクを大きく経営が安定しない。

そこで、辻製油では平成15年から第二創業として、地域資源の活用と地域産業との共生を目指して事業開拓してきた。その基本方針は、循環型産業の構築である。バイオマス事業として、地元三重県の間伐材や建築廃材から木質チップを生産し、専用のボイラーで燃焼して搾油に必要な蒸気を得て、辻製油で使っている。年間で8千KLのA重油を削減している。また、温室でのトマト栽培の暖房にも利用して、うれし野アグリ(株)がミニトマトや日本初の「房どりトマト」を生産・販売している。今年の1月には、バイオマス暖房、再生可能電力LED照明、紙容器を兼ね備えた「やさしいトマト」を発売した。

地域の未利用資源を有効利用する取り組みとして、コア技術を活かして尾鷲市で三重県産の檜から檜精油を抽出し天然香料として生産販売している。コロナ禍もあり、三重県から補助金を受け、檜精油の抗菌効果を消毒アルコールに活かした「天然ヒノキ香る除菌スプレー」を開発・販売している。

また、高知県の安芸市では、特産の柚子から柚子果汁を搾った後に、大量の果皮が発生し搾り粕(80%)が問題となっていた。これまでは、セメント会社に処分費を支払って処理してもらっていた。辻製油では、3年間の研究開発によって、柚子の搾り粕からゆずオイルの抽出に成功した。今では、柚子の搾り粕を辻製油が有償で買い入れている。この他にも、生姜からしょうがオイルを抽出して、食品香料として販売している。

三重県内資源に付加価値を付けるために、三重県での柚子栽培、松阪市の休耕田でのベビーリーフ生産、志摩市でのアロエ栽培、多気町でのカカオ栽培にも取り組んでいる。

「資源の少ない日本の究極の財産は、技術力である」と考え、社内に天然資源研究室と機能性素材研究室を設けて、研究開発型企業を目指してきた。更に、三重大学内に「辻H&Bサイエンス研究室」を開設して、ナンバーワンとオンリーワンを目指している。

5.閉会

・最後に、智の木協会大河内基夫事務局長から閉会宣言があり、第一部の創立記念講演会を終了した。

*創立記念講演会終了後に、簡素な会員交流会を開催し、各参加者から一言ずつメッセージを頂いた。

<参 考:交流会風景>

(乾杯のご発声をされる岡澤敦司理事)         (食事を取りながらの懇談会)

以 上

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