「第16回スターティングシンポジウム」          ご報告

概要

日 時:2023年11月30日(木)<講演会:16:00~17:40、交流会:17:45~19:00>
場 所:富国生命ビル4F「まちラボ・Aルーム」
参加者:28名(会場参加:20名、事務局:8名)

大河内事務局長

【司会進行】
大河内基夫事務局長から開会宣言の後、寺谷理事長が所用にて参加できない旨の報告があった。引き続き大河内事務局長より挨拶ならびに智の木協会の前年度(2022.10.1~2023.9.30)活動報告を小林代表幹事にお願いしてスターティングシンポジウムが始まった。

開会挨拶ならびに令和5年度活動報告

  本日は、寺谷理事長が急遽ご所要で、ご欠席になられましたので、小林が代わりにご挨拶をさせていただきます。今年の5月に「智の木協会」は創立15周年を迎え、本日、皆様のお手元に配布しております記念誌を作成し、これまでの活動を取りまとめました。

小林昭雄 代表幹事

今年度は、16年目を迎えます。恒例であります講演会の講師としまして、本会の副理事長黒田様の奥様が勉強されています「山本能楽堂」の代表理事であられる山本章弘先生にお務め頂きます。本日は、よろしくお願いいたします。さて、「智の木協会」の令和5年度会の諸事業は9月30日で終了し、10月1日からは既に令和6年度が始まっておりますが、令和5年度の活動につきまして報告させていただきます。なかでも「第15回シンポジウム」、「新年講演会」、「創立15周年記念シンポジウム」、「第13回ワークショップ」、「智の木の森づくり」について概要をご報告したいと思います。・「第15回シンポジウム」は、昨年11月18日、隠岐の島ジオパーク推進機構の野邉様に隠岐の魅力についてお話いただきました。新年度である10月6日には吉信理事が中心となって会員の皆様を引率して隠岐を訪れ、大阪との交流人口を増やすシステム作りを提案してまいりました。「新年講演会」では、今年の1月28日に「子どもの医療」ということで病院の中に絵を描いたりアート的要素を取り入れた形で病院を運営するとの新しい発想を盛り込んだ病院経営に関して病院長であられる中川先生にお話いただきました。「創立15周年記念シンポジウム」では、当協会の特別顧問をお願いしています「ねこ駅長」事業を仕掛けたことで知られる両備グループの小嶋会長に岡山市「杜の町グレース」の取組みを中心にお話をいただくとともに協力会員の伊太祁曽神社奥禰宜様や個人会員でヘレンドカフェ主宰の近土様にもお話をいただきました。「第13回ワークショップ」では、ガラス工芸家の岡本覚先生に実際にガラス玉をあしらった装飾品作りの体験教室を開催していただきました。また、昨年10月4日に鳥取県智頭町で、会員の皆さんに参加いただき「智の木の森づくり@智頭町」を開催いたしました。最後に、「智の木協会」では、今後もテラプロジェクトと連携を強化して、Green Hospitality Osaka OneGreenプロジェクト、さらに、フラワーケーキ、御堂筋FBなど新たな活動を進めてまいります。皆様方の一層のご協力・ご支援を賜りたいたく存じます。

 講演会

武田 剛 専門委員

【講演会 開催挨拶】

智の木協会 武田 剛 専門委員
(富国生命保険相互会社 不動産部長)

  私ども富国生命はお陰様で、1923年の創業いたしまして2023年100周年を迎えることになりました。創業記念日は11月22日。皆様にこの場をお借りいたしまして、御礼申し上げます。

この富国生命ビルが2010年にできあがる5年前に大阪大学を訪ね、小林先生にこのビルに社会貢献できる何か仕掛けを作っていただくようお願いしました。私は、当時30代で担当者として東京と大阪を行ったり来たりして、小林先生のお話を聞いていたことが思い出されます。富国生命には、創業当時から変わらない社是と言いますか、経営理念が3つありますがその内の一つに社会への貢献というものがあります。これは100年間変わらず、我々の経営理念として従業員一同を事業活動の上でも社会への貢献を心掛けるということで様々な社会貢献活動をしています。その中の一つに静岡県伊東市に山を所有しており、山林の保全活動を続けております。今では、そこに残る多くの史跡と我々の山林保全活動が合わさって伊東市の観光ルートにもなっています。こうした背景もありまして、私ども富国生命はこのビルのこともありましたけれども「智の木協会」の設立趣旨に賛同させていただき、会員として参加させていただいている次第です。本日は、公益財団法人山本能楽堂様、山本代表理事から興味深いお話をいただけるとお聞きしております。私も非常に楽しみにしております。どうもありがとうございます。

講演:「Tradition for a better future ~伝統をより良い未来社会に活かす~」

【講師】 山本 章弘 氏(公益財団法人 山本能楽堂 代表理事)

【講演要旨】
皆さんの能楽というと漠然としかご存知ないので、今日詳しくお話したいと思います。能楽とは能と狂言の総称です。兄弟みたいな感じでして、お兄ちゃんの能は歌や舞が好き。狂言は大阪で言うイチビリなというこんな関係ですね。能は歌劇です。室町時代から取り入れておりますので七五調です。狂言は言葉、セリフ劇です。しかも滑稽劇なんです。言うなればお笑いです。能は、現在は観世流、宝生流、金春流、金剛流、喜多流と5統派あるのですが、すべての流を座に変えていただければ観世座となります。昔は、喜多を除いて4座でした。猿楽の4座。現在は主なシテ方です。私は、一番上の観世流というところに属しております。

 簡単に能の歴史をお話して行きたいと思います。平安時代、9世紀から鎌倉時代にかけて中国から散楽が渡来します。日本は、大陸から朝鮮半島を通って来まして、一番東側にある国で、それ以上東に国がありませんので、文明文化の吹き溜まりと言っていいと思います。散楽というものを中国人はやっていないのです。それはアクロバット、曲芸ですね。これでも散楽の一つです。もう一つは、舞楽雅楽ですね。これも散楽と言っていましたが中国では現在、誰もしておりませんが、これが散楽のルーツになります。この影響を受けて14世紀、この猿楽という芸能ができます。武家社会に入るんですが、特に先程言いました観世座という大和猿楽に観阿弥世阿弥という親子がいて、この親子が非常に猿楽を面白く演ずるという噂が足利将軍義満の耳に入りました。足利義満は、二つに驚きます。一つは父親、観阿弥の芸が面白いということ。もう一つは、世阿弥の美男子に驚き、世阿弥をお稚児さんとして迎えることになります。お稚児さんは、家族と同じように遊ぶのです。世阿弥がまだ11歳で、将軍様も16歳ぐらいの時です。一緒に歌を詠んだりします。二条良基も世阿弥に惚れて室町以前の作品を詠んで、能を演ずるだけではなくて、能を作っていく仕事を世阿弥にさせていきます。そこで色々な作品がこの時代に生まれていく訳です。

この能は、色々な環境の変化に簡単に応じていきます。戦国時代、豊臣秀吉の時代。暮松新九郎というどこの座にも属していない能楽の役者が秀吉に能を演じると神様になれると伝え、自ら演ずるようになったと言われています。ここで一つ変わることがあります。能役者の構えが侍のような構えになりました。それから能の動きが、すべてカタ付けが差し込みといったように剣術の言葉に変わっていきます。また、能面や能装束が非常に豪華になります。今で言えば、首相官邸みたいなところに人を招いて、しかもその中に庭や能舞台を組んでまでやっていたという時代です。

続いて、大阪夏の陣、徳川の時代になります。江戸城、紀州などのお城付きになり式楽となります。幕府の儀式で能を使うようになりました。例えば、一日2,000~3,000人くらい招いて江戸城内で町人能が開かれ、全員にお酒やお菓子、さらにはお金まで貰ったようです。今のお金にしたら14,000円くらい。能を見に行ったらお金がもらえるという時代でした。これも江戸時代が非常に平和な時代であった証かと思われます。

明治維新。ここで武士の後ろ盾を失います。明治天皇のお母さん皇太后は、本当に能が好きで、初めて芝能楽堂という能楽堂ができます。この時に岩倉具視などが能楽者という存在を作り、初めてここで能楽という言葉が出てきます。それまでは、全て猿楽。猿楽の能から能楽。芝能楽堂でしたが、お堂のような建物はありませんでしたが痕跡として能舞台が靖国神社境内にはあります。現在はユネスコの世界無形遺産です。

 *上記の能の歴史について時代背景とともにご説明いただいた後、シテ方・ワキ方・狂言方・囃子方の四役や、シテ方の5つの流儀、笛・小鼓・大鼓等の説明、さらには詠み方の実演なども交えて詳しい説明をいただいた。(詳細省略)      

最後に、新作能についてお話します。サントリーの鳥井副会長や水都大阪関係者の方々から新作能を作れないかという要望があって、水質の環境をテーマにした新作能を作りました。実は、新作能は能の世界ではだいたい1~2回で終わってしまうものですが、これまで29回開催しました。お坊さんが京都から大阪に行くというストーリー。山崎あたりで船に乗り、淀川に着くと自分はもうこれ以上先に行きませんと女性が海の中に沈んでいく。その女性は水の神様でした。そこに鳥がやってきて、住みやすい海となるよう海を掃除しましょうと提案します。その中で子どもたちは自分たちで作った衣装で水鳥に扮して登場します。その後もオルフェスという東ヨーロッパ、バルカン半島で有名な話を下絵に新作能をつくりました。これもより良い環境となるよう、オルフェスが妻と竪琴を持ってきて森の色々な生き物たちと一緒に演奏するという作品です。こうしたSDGs能ともいえる新作能づくりにも挑戦しています。

新作能 「水の輪」

松村 和幸 専門委員

【講演会 閉会挨拶】

智の木協会 松村 和幸 専門委員(清水建設株式会社 関西支店 営業部長)

本日は、貴重なお話をありがとうございます。現代的な言葉で本当にわかりやすくご説明いただき、本当に楽しく聞くことができました。布教活動に尽力されているという中で、SDGsの活動ということでも非常に感銘を受けました。 

弊社におきましても創業以来、伝統とか歴史とか信用を本当に大切にしながら建設業の枠を超えて、これから挑戦したりとか、色々なお客様と共生したりということで、新しい価値を作って、豊かな生活が実感できるような脱炭素社会であったり、資源循環社会であったり自然共生社会というような持続可能な社会の実現に貢献できるよう様々な取り組みを行っています。引き続き多くの方々と一緒に活動を継続したいと思っておりますし、その大切さを今日は教えていただきました。

最後になりますが、これまでの皆様の智の木協会に対するご支援に感謝するとともに、引き続きのご支援をお願いして、閉会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

*最後に、智の木協会大河内基夫事務局長から閉会宣言があり、「第16回スターティングシンポジム」を終了した。(下:懇親会の様子)

おわりに(事務局から)

令和6年度がスタートしました。今年度も、各種シンポジウム・参加型ワークショップやグリーンツーリズムなどの開催に力を入れてまいりますので、引き続きご支援、ご協力の程よろしくお願いいたします。

以 上

コメント

コメントする

CAPTCHA